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記事のトップ > ACW2からのお知らせ女性たちが安心して働ける法整備を!(ホットライン報告)
働く女性の全国センター(ACW2)では,5月7日(月)〜5月16日(木)全国一斉フリーダイヤル「働く女性の悩みホットライン」を実施しました.
期間中電話は鳴り続け,相談として受けられたものだけで206件に上りました.想像以上に,女性たちの労働実態は厳しくなっています.非正規雇用者には労働条件の不利益変更が続出し,正規雇用者の労働強化は深刻化しています.ホットラインに寄せられた切実な要望に応える法整備が求められています.以下にホットラインの結果概要をご紹介します.
1,相談者の特徴
(雇用形態)
正社員(正公務員含む)33%に対して非正規雇用労働者の相談は55%と,非正規労働者の相談が多くかった.また非正規雇用の中で多い雇用形態は,短時間パート36人(17%),フルタイムパート28人(14%)と擬似パートも含めると31%がパートと呼ばれている人からの相談であった.
(年齢)
年齢は,非正規,正規とも40代が一番多かった.
(労働契約法制について) ほとんどが知らないことがわかった.
2,相談内容の特徴
<全体> いじめの労働相談がトップ
今回のホットラインの特徴は,通常の労働相談では常にトップである解雇・退職勧奨が少なかった.
いじめに関する労働相談が全体の26%で最も多く職場の人間関係の崩壊と,雇用の多様化は労働者が孤立化し職場のコミュニケーションの弊害が起きていることが伺える.また,労働条件の不利益変更,労働時間・休日に関するものも多く,職場環境の厳しさがよくわかる.特に不利益変更は非正規に集中している.
正規
非正規
○非正規雇用の労働条件の不利益変更が正社員より多い
今回のホットラインでは,非正規雇用労働者に対して労働条件不利益変更の相談が目立った.その内容は,労働時間をより短くされ賃金を下げられる,人の補充をされないので過重労働が加速している,雇用保険適用からはずすために労働時間を短くする,などである.それらは,有期雇用契約で,労働条件について文句を言うと契約更新されない可能性があり苦情をいえない弱い立場に付け込んで,ただでさえ,労働条件が悪いのに,さらに不利益変更するというひどい現状である
○非正規雇用でも,労働時間が長くなり休みも取りずらい.過重労働になって労災まで発生している.
以前は,パートタイムと正社員の格差は,賃金が主たるものであった.賃金が低くても責任が軽い,労働時間が長いという点で少しは,我慢できた.しかし,現在進行していることは,賃金が安いにもかかわらず,人が補充されず労働時間が延長され過重労働になっている.決して,気楽な補助的労働ではない.経済界は,パート・アルバイトの基幹労働力化,戦力化をうたっているが,有給や残業代の支払いなどの基本的な権利も認めない現実が見えてくる.
○正規雇用にめだつ雇用形態の不利益変更と退職勧奨
政府は,パート労働法の審議の時に,正社員と均衡処遇を図るメルクマールとして (1) 職務責任の度合いが同じで (2) 人材活用のしくみ,異動・配置の頻度が同じ (3) 雇用契約の更新を繰り返し期間の定めのない雇用と同視されるものと,3つの要素を挙げている.少子化問題が叫ばれる影で家族的責任を負っている正社員の女性たちがパート並みになれと攻撃されている現実がある.
○正社員の長労働時間化がさらにすすむ.残業代未払い,未保険加入も
正社員の働き方として残業が標準的になり,当たり前のようになっている.新卒で入社したての若者も働きすぎで体調を崩している.「パートは時間が選べるが,正社員は時間が選べない」という言葉が象徴的だ.下記のような働き方が,現在でも多く見受けられる中で,労働時間規制をなくしたら過重労働がさらに促進し,過労死などの労働災害がさらに多発することは,間違いない.残業代の未払いや,保険の未加入に至っては,企業モラルの低下としか言いようがなく許されないことであり,もっと罰則規定を強めるなど規制を強化すべきである.
(セクシュアルハラスメントメント)
女性のためのホットラインとしては,全体で16件と少ない.分析が必要である.正社員のセクシュアルハラスメントの加害者は社長,部長という役職者からのものが多いのに対して,非正規雇用の場合は,同僚の男性社員が多く,雇用形態差別が背景にあることも推測できる.
作成:働く女性の全国センター(ACW2)
03-5307-7383